私の個人的な考えとしては、直線的なルートが多いスポートクライミングではシングル、屈曲ルートの多いアルパインクライミングではダブルの使用くらいに漠然と思っています。
私はアルパインが好きですが、ロープ捌きの面からはアルパインでもシングルが使いやすと感じています。でもその際は、前述した様に屈曲ルートでは、ロープの出が悪くなる事も事実で、どちらを使うか迷います。
また、冬のアルパインでは、ドカ落ちする事が少ない前提でダブルロープをシングルで使っている方も見かけますが、状況次第では許容される使用方法でしょうか?
以上、宜しくお願いします。
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後藤 真一
おっしゃるとおり弱点を突くアルパインクライミングでは屈曲が多いため、ロープの流れが極力ストレートに伸ばせるよう2本を使うことが多いです。
これはロープの流れがスムーズに行くだけでなく、ラペリング(懸垂下降)する際も有利です。
ロープの流れをなるべくストレートにすることは、登りやすくするためだけではなく、実は万が一テンションした際に墜落を止めたアンカーに架かる荷重を小さくすることにあります。
トラディッショナルなアルパインルートの残置アンカーも、自身で設置したカムやハーケンなどリムーバブルプロテクション(回収可能なアンカー)にしても、一般的なフリークライミングルートで使われているケミカルアンカーやグージョンボルトに比べ、その耐荷重は小さいため、落下係数の大きな墜落はできません。
落下係数(墜落係数)は簡略的に求めれば、墜落距離 ÷ 衝撃を吸収してくれるロープの長さ です。
従ってジグザグしたルート取りでは、衝撃を吸収してくれるロープの範囲が上部だけに限られてしまい、分母が小さくなって落下係数は大きくなってしまいます。
落下係数が大きくなればなるほどアンカーに架かる衝撃荷重が増大し、耐荷重の小さなものは抜けたり破断したりする可能性が大きくなってしまうわけです。
なので分母を大きくするため、なるべくロープはストレートにした方がよくなります。
またダブルロープ規格はシングルロープよりも、衝撃を吸収してくれるロープの伸び率が高いことも挙げられますね。逆にグランドフォールする可能性のある低い場所ではの伸び率が高いので注意が必要ですが。
冬のアルパインはルートによると思います。
もちろん規格上ダブルロープをシングル使用してよいとは言えません。
ひとえに軽量化という課題と安全性という課題をどう天秤に架け判断するかなのでしょう。
最近は細身のシングルロープも出ていますので軽量化課題を少しずつ解決していますね。
添付写真1
神奈川労山のリーダー学校では大変お世話になりました。
今後ともご指導宜しくお願いします。
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